2020
台北 (台湾)
concept : shine
2020年、台湾の首都台北市に地下鉄環状線(Circular Line)が開通する。台北市中心部より放射状に広がる既存路線を大きな円を描きながら統合し、交通網を飛躍的に向上させる画期的な路線である。この計画と建設を行っている台北市政府捷運工程局(DORTS)は、交通機関である環状線そのものを街のパブリックアートとして展開する世界で初めての計画を試みている。2011年に、この壮大なプロジェクトへの参画依頼をDORTSより受け、色を用いるアーティストとしてパブリックアートを手掛けることになった。
環状線は総距離34.8kmとなる地下鉄であるが、そのうち14.5kmは地上を走っている。プロジェクトは街の人々により密接に関わるこの地上部分を対象に展開しており、スチール梁8km、遮音壁10km、高架下のスチール柱200本、プラットホーム13駅、橋1ヶ所、そして4両編成車両の外装と内装等、手掛けたアートの範囲は多岐に渡る。また2019年に開通するまでの期間に、台北市民や小学校教員を対象とした色のワークショップ等、エマニュエル本人が行うアートイベントも開催される。
コンセプトである「shine」は台北市政府捷運工程局が掲げた環状線のテーマ「駆け抜ける雲のように、龍は数千マイルの旅をする」という一文と、ラインカラーである「イエロー」にインスピレーションを受け生まれた言葉である。テーマの中に登場する「龍」 、そして「イエロー」から連想した太陽の光のイメージを元に、駆け抜ける龍のウロコに光が反射し環状線全体にその輝きが広がるようにと想いを込め、輝きを意味する“shine”というアートコンセプトに決定した。
このコンセプトに基づき、5色のイエローをベースに街中にアートを展開しているのがプロジェクトの特徴となっている。そしてその中に虹色が現れる特別な場所を1つだけ演出している点も、エマニュエルが仕掛けたサプライズとして楽しみにして頂きたい。
街中に展開する壮大なパブリックアートが台北市民の暮らしに輝きを添えることを願い、プロジェクトは現在進行中である。
photo : DORTS (Department of Rapid Transit System)