2020年2月5日~4月19日
(9月27日まで延長)
NOW Gallery
ロンドン(イギリス)
Installation:
”Slices of Time”
ロンドンのグリニッジ天文台にほど近い NOW Galleryにて、新作インスタレーション「Slices of Time」を発表した。本作品は、グリニッジの本初子午線が世界の時間の基準であることやギャラリーの名前「NOW=現在」からインスピレーションを受け、「過去」、「現在」、「未来」を、120層の「時間の断片=Slices of Time」として表現している。
これらの層を描いているのは、規則正しく3次元のグリッド上に整列させた168,000ピースの小さな数字。1層に1西暦を描き、120層を通して、未来の100年(2020~2119)と過去の20年(2000~2019)を可視化している。未来の100年分の西暦はそれぞれ異なる色となっており、100年100色100層であるのに対して、過去は白で表現している。
作品を真正面に臨むと、まるでギャラリー内に浮かぶ地球のように見え、奥へ進むと、過去と未来の間には文字通りスライスされた「現在=NOW」の空間が存在している。
また、来訪者がそれぞれの大切な日付を考えるきっかけとなるインタラクティブ要素も用意された。白い丸い紙にカラフルなペンで思い思いの大切な日付とその理由を書き、ギャラリーのウィンドウの時間軸に貼ることで、作品に参加することができる。
Jemima Burrill (NOW Galleryキュレーター)より:
”ムホー氏の作品の繊細なディテールや熟考された秩序は、今日私たちが直面している政治的混乱からの完璧な束の間の休息のようでした。この展覧会は、すべての人々に、色と形のシンプルさと複雑さを楽しむ時を与えることとなるでしょう。両方の要素が相まって驚きと調和をもたらし、カラフルな順序の中で大切な日付を考える時をつくります。瞑想的な瞬間です。”
100 colorsシリーズについて
2013年から手掛けている「100 colors」インスタレーションは、色の魅力を最大限に表現したくさんの色が溢れだす感覚を体感してもらいたいという思いから始まったプロジェクト。
空間を浮かび溢れ出す100色で構成し、場所によって色の材質や形を変化させ、既存空間に色を重ね合わせている。
1995年に初めて東京を訪れた時、東京の街に溢れる「色」がエマニュエルの心に大きく影響を与えたように、彼女が創り出す色がたくさんの人々の心に届くことで、人々の色に対しての意識が少しでも変わるきっかけになってほしいと願っている。
100色を見て、触れて、心で感じ、色を通してエモーションを感じてもらいたい-この思いを胸に、今後も「100 colors」を世界各地で展開していく予定である。
“はじめて東京の街を見た時、街に溢れている色に衝撃を受け東京に住もうと決めた。
ボリュームの異なる建物、そのスキマに切り取られた空、看板、電線など、街は様々な「レイヤー」で構成され、その中で溢れ出しそうな無数の色が幾重にも重なり合い、複雑な奥行きを作っていた。
東京で感じた「色」と「レイヤー」は私のデザインコンセプト色切/shikiriの原点である。
東京を見て感じた気持ちを大事にして事務所設立10年を向かえた今、色の魅力を最大限に表現して、たくさんの色が溢れ出す感覚を共有したい。
その想いからここ東京で100色の空間を創る。
”エマニュエル・ムホー
(2013年9月)